暴力の正当化と「おまえのために言っているんだ」という口実
行政書士 兼 離婚情報コーディネーターの中森です。
子どもに暴力を振るう親。
よくあるケースとして、暴力を振ることを他人のせい
にするのではなく、「お前のためにこうするのだ!」
と正当化する親です。
(これはパートナーや会社の上司なども当てはまります)
世の中には、いまだに体罰こそ子どもの教育には欠かせ
ない手段と信じている親はたくさんいます。
体罰を肯定する親の中には、子どもというのは生来悪い
ことをするように生まれついていると信じている人が
いることです。
だから悪くならないように厳しく叩いて矯正しない
といけないという思考になってしまいます。
「私もそうやって育てられたんだ。
たまに叩かれたくらいではどうってことない」とか
「悪さをすれば(言うことを聞かなければ)
どういうことになるのか、わからせなくてはいけなんだ」
などがその言い分です。
なかには
「体罰は子どもを強くするために必要な儀式であり、
子どもはそういう試練に耐えなくては強くなれない」
と、体罰を正当化する親もいます。
◆体罰の効果は何もない
しかし、近年の研究によると、体罰によって実際に
子どもが特に強くたくましく育つということはなく、
好ましくない行為をした時の罰としても役に立たない
ことが示されています。
体罰は一時的な押さえつける効果があるだけで、
子どもの心には強い怒りや復讐心、自己嫌悪、
大人に対する不信感などを生じさせ、むしろ
障害になるというのが事実です。
そういった悪影響は、どのような一時的な効果をも
帳消しにして余りある行為なのです。
◆「お前のために言っているんだ」
残酷で屈辱的な口汚い言葉で子どもを傷つけながら、
「お前をもっとましな人間にするためだ」
とか
「世の中は厳しいんだ。それに耐えられる
人間になるよう教えているんだ」
などと言って正当化する親は多くいます。
こういう親は、実際には虐待しているのに、
表向き「教えているのだ!」という仮面をかぶっている
ため、被害者の子どもは大人になってもその有害性が
なかなかわかりません。
なかには、とにかく子どもをけなしてばかりいる
親がいる。
子どもは「怒られている自分が悪いのだろ」とは
感じても、やはりすっきりした気分にはなれません。
後ろめたい気持ちに反発が混ざり合い、自分が何かを
ちゃんとやれているかと思えることがなく、これでは
自信など生まれるわけがありません。
何かがうまくできたと思った時でも、一言のけなしで
その気持ちはしぼんでしまう。
自信を育てなければならない大切な時期に、励まされる
のではなくけなされるのでは、自信の芽は摘まれてしまう
のです。
しかし、親は「わからせてやるため」と言う理由をつけています。
◆自信のない自分を隠している
こういう親は、実は自分に能力がないことに対して
フラストレーションを抱えています。
なかには子どもをけなすことで自分の優越性を示そう
とする親もいますが、そういう親は、そのような行動を
することによって自信のない自分を隠しているのです。
そんな親は子どもをクラスメートの前でこき下ろして
恥ずかしい思いをさせるようなことも平気で行います。
思春期の子どもたちにとってそれはもっとも恐ろしいことです。
しかし、そんな子どもの気持ちより自分の気持ちのほうが常に
大事だと思っているのです。
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